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COLUMN#7 - 暑中お見舞い申し上げます。盛夏の近況 - 夢想にふける夏の旅



   

Prologue

HUG FOR_. が鎌倉でスタートを切ったのが2022年12月4日。早いもので1年と7カ月が過ぎました。縁もゆかりも薄い土地でのチャレンジは、鎌倉がもつ刻まれた歴史、新と旧が共存する文化、豊かな自然、季節と共に過ごす時間、魅力溢れる人々と、挙げ切れないくらい多くの恩恵を授かり、そして関わってきたすべてのアーティスト、地元や都内、全国各地から訪れる方々との展覧会の度に生まれる一期一会の出会いのおかげで、一歩一歩、一段一段、土壌を築き成長を遂げることができています。いつでもその感謝の気持ちを胸に本日もコラムを書き綴らせていただきたいと思います。


 



"夢想にふける

焼ける暑さも凍える冬も

カリヨンの音のある風景"



先日どこかで目に留まってメモに残した一説です。



遅ればせながら、暑中お見舞い申し上げます。

炎暑ことのほか厳しい中、お変わりなくお過ごしでいらっしゃいますでしょうか?

7月はギャラリーの営業はお休みだったのでご無沙汰しており申し訳ございません。


コラムもなかなか筆が進まない状況でして、1カ月以上も更新ができておりませんでした。


久しぶりに海外へ渡航をしたこともあり、旅を通して感じたことについて近況を交えて綴りたいと思います。お時間ありましたらお読みください。







7月、上旬。


タイ北部の都市、チェンマイへ渡航しました。


4年ぶりの海外。7年ぶりのチェンマイ。

チェンマイはタイ王国の北部にある第二の都市で、日本からはバンコクのスワンナプーム国際空港を経由して約9時間ほど。


十数年前からバーンロムサイというNPOの活動に関心があり、ようやく訪れる時期が来た!と、稚気にはしゃぐ雰囲気もありましたが、いざ現地に着くとクールにいつも通り充てのあるようなないような、その場の流れに任せた淡々としたゆるい旅でした。


ゆるやかな流れであっても、山岳民族のカレン族との出会い、バーンロムサイというHIV母子感染をした孤児施設のNPO団体との触れ合い、行く先々で名も知らない人や場との一期一会、さまざまな人との出会いが凝縮され、心が満たされた旅でした。







感じたことは、開放感、活気、心地の良い不自由さと自由。


森、水、土、空気、風、季節、時間との付き合い方、生活の簡素さ、信仰心。

無い物を追いかけるよりも、有る物を愛する生活。

家族や人に対する成熟した向き合い方。

そしていつの間にかその環境に共感し適応していく自分。






滞在中は人知れず一人の時間を存分に送り、一人の時間の大切さを嚙み締めました。

散歩、食事、移動のバス、タクシー、昼寝、街歩き、夜市、原風景。知らない場所を地図も見ず時間を気にせず疲れるまで歩く、走る。

その時間はとても精彩でした。












つながりについて考えて、感じた。


滞在2日目、山岳民族のカレン族の方々と一緒に過ごしました。彼らは生まれた時から森や木、大地との精神的なつながりを代々継承しながら、それらから受けるメッセージに耳を傾け、自然に抗うことなく暮らしています。土壌を守るために7年のサイクルで住む場所を移動するそうで、決して多くは望まず慎ましく、森と共に生きる姿は幸せそうでした。


私を見て「日本での生活は忙しそうだけど、元気そう」と言ってくれたこと、彼らが大切に守り彼らを守っている森の中をゆっくり案内してくれたことがとても嬉しかった。






どのような生き方であっても、社会性や信仰心をもつは人間は、何かを拠り所にし、誰かとつながり、でも一人にもなりたい。でも"独り"ではなくつながっていたい。見て欲しい、聞いて欲しい。触れ合っていたい。分かり合いたいという想いを多くの人が持っていると思います。


2011年以降、個人も民間も公共政策も"つながり"や"絆"という言葉や考え方が広がり、共生、共助、共存に向けて、社会全体が大きくその方向へと動きました。つながりの力によって、助け助けられながら、その重要さを多くの人が体感し価値観も変容したと思います。


そして私もつながることには慣れました。


ただ最近は、つながりすぎてしまったことで不幸になることや、自分を見失うこともあり、つながり続けることが本当に健全なのか、真っ当なつながり方なのか、気難しく気に懸けるようになりました。


でもそんな個の意思や小さなスケール感ではなく、私たちは生まれる前から死ぬまで、今を生きているということは何かとつながり、とてもごく自然に守り守られている関係性が存在していることをカレン族の暮らし方から感じ取りました。


どこにいても、一人で過ごしていても、誰と過ごしていても、多様な信仰、文化、価値観、社会と干渉しないで生きてはいけず、また自然を感じることで見ずに、あるいは見えないでいた内面的なものがあぶり出されて自分らしさの輪郭線を修正し色濃くしまた継いでいく。


何かとつながり、地続きであることを認識して生きることは思っている以上に偉大で大切なことなのかもしれない。


他人がいるから私の幸せと自由が在り

他人がいるから私が在る


強く硬い心は生きる軸となり支えとなり、しなやかで広い心は自由をくれる。そんなことが見えた美しい旅だったように思います。


帰国後。


日本に戻ってからは気候の変化や久しぶりの海外で少し疲れが出たのか、頭も体もぼーっとしてふわふわと浮遊感のある日が続き、更に風邪を引いて寝込んでいた日があり、それでもやる事や行くべき場所があったりして落ち着かないまま時間が過ぎていました。


でもこうして大切な体験を熟成させ、時間をかけて静かに整理することができて良かったと思います。

(余談ですが、リアルタイムではないホームページ上のコラムというのはオーバーシェアリングにも陥らないし、プラットフォームを好まない私にとってはとても居心地の良い空間になっています。誰かが知らない間に読んでくれているかもしれないし、誰も読んでないかもしれないという不確実さと静けさが何だか安心。)



さて8月は暑さを凌ぐ形で夕方から夜にかけてギャラリーは営業中です。良かったら気軽にお立ち寄りください。

ご希望の方にはカレン族から購入したコーヒー豆のコーヒーをお出ししています。


それではどうか厳しいひと夏を健やかにお過ごしくださいませ。

ギャラリーでお待ちしています。


 

当コラムは月に1-2回程度、ギャラリーに関連する活動を軸に執筆しています。お気楽にお読みいただけますと幸いです。

文、写真:HUG FOR_. Eriko.O


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